4月  チューリップ
198501 440×280
Tulip-line
「さいた〜、さいた〜、チューリップのはーなーが〜♪」

あの小学生唱歌を口ずさみたくなる、

チューリップ畑です。

チューリップといえばオランダ、オランダといえばチューリップ。
真っ平らな干拓地に広がるチューリップ畑、それは、それは、見事です。
4月末頃から一斉に咲きはじめます。


198506 430×630
Tulip-scope 1
どの花見ても きれい!
198507 430×630
Tulip-scope 2
どの花見ても 元気!
198508 430×630
Tulip-scope 3
ぴっか、ぴかの 
一年生みたい!
198227  190×240
チューリップ畑

オランダ・チューリップ畑の思い出

1980年4月、はじめての海外取材はオランダのチューリップ畑からスタートしました。
ワーゲンのワンボックス中古車を改造した手作りキャンピングカーが私たちの足であり、家でした。
日本国内でも同じ様なコトをやっていたので、夫、コーチャンのキャンピングカー作りは手慣れたもんです。
ドイツで手に入れたオンボロワーゲンに、鍋釜食器、寝具に大工道具一式積み込んで、まずは撮影現場近くへ。
運河沿いの静かな農道に居?を定め、家作りです。材木は大型ゴミから拾ってきた物でコト足りました。
内装の絨毯やレースのカーテンも全て拾い物。ナイ物を工夫してなにかを作るのって、結構楽しいもんです。
目の前には、チューリップの花の絨毯、運河には水鳥たち。なんって贅沢な庭!
反対側は森です。チューリップの時期だけ開園される、あのキューケンホフ公園の森の続き。
カメラマン兼大工です。雲間が広がって日が差せば、大工仕事はお預け。
作りかけを車に放り込んで、ソレッ!と撮影現場へ向かうのです。
ヨーロッパでの手作りキャンピングカー第1号を、「アルマジェロ」と名付けました。
窓もなく、走るのもやっとこさ、って感じ。で、愛すべき「アルマジェロ」くんです。
ある朝、イスとテーブルを道端に出し、「アルマジェロ」のそばで、のんびりコーヒーを飲んでました。
チューリップ畑におじさんがひとり。オランダのお百姓さんのコスチュームは背広にハンチングです。
まるで「紳士」が畑にいるようです。「紳士」が手招きしています。あんまり長逗留してるから、怒られるんかな〜。
おじさん曰く「あなた方は、英語、フランス語、ドイツ語、どれをしゃべるの?」
おっかなびっくり「エイゴ」と応えると「オー!グッド モーニング!オランダへようこそ!」
おじさんは両手いっぱいの黄色いチューリップを下さったのです。
窓のない暗い「アルマジェロ」君の中が、黄色いチューリップの花束で、パアーッと明るくなりました。
おじさんの笑顔も忘れられません。
オランダの人達は三カ国語がペラペラなんです。いいな〜。

198514 300×200
Tulip-farm
こんな色合いで春のセーター編めたらいいな。
こんな模様のカーテンもステキ。

でも、これはカーペット、しあわせ色の
広い、ひろーい、敷物。
チューリップの花の絨毯は、毎年、彩りも、模様も違います。

それは、
働き者の農夫の手で織られます。
気の遠くなるほどの、手作業です。
198502 480×370
Tulip-field

チューリップ畑の思い出、もうひとつ

オランダのチューリップ畑は、その後も何度か訪ねました。
車も替わり、「野宿」ではなくキャンプ場に泊まるユトリもありましたが、
あの運河沿いの農道が気に入って、泊まってました。

ある朝、おじさんがひとり、今度は遠くにいます。
両手を後手に組み、チューリップ畑の列に沿って、腰を屈めて歩いています。
時々しゃがんで何か調べているようです。
友人のカメラマンと三人でコーヒーを飲みながら、働くおじさんの様子を眺めていました。
曇り空、撮影日和ではない朝です。暇な私たちでした。

「賭をしよう!おじさんが、列の終わりまで行ったら、何をするか?」
花の列の終点は遙か遠くです。
三人三様の答  
・終点に着いたら、腰をトントンする
・やり終えた作業を、満足気に振り返る
・次やる作業の列をチェックする
私たちは、わくわく、ジリジリしながら待ちました。
花の列はとっても長く、おじさんの作業も丁寧、ゆっくり、でしたから。
遂に終点到着! どーだ?どーした?どーなる?

三人とも、ハズレ・・・でした。
おじさんは、なんにもしないで、何事もなかったように隣の列の作業へ移って行ったのでした。
あくまでも広いチューリップ畑、
その仕事はおじさんにとって、花と一緒に呼吸をする様な感じだったのでしょうか。



199718 130×180
Holland-farm

アムステルダムやロッテルダム等の大都会は別として、オランダの郊外や、田舎を巡っていると、
「国土のほとんどが、干拓地」という思いがします。

真っ平らな土地は海面より低く、風車で水を汲み上げたり、治水のため縦横に走っている運河には土手堤が築かれ、時には地面より上に運河が流れてたり、もします。
営々と干拓作業を続け、国土を作ってきたのでしょう。

知恵と努力と根気を惜しまず、そして美しいものが大好き、という国民性を感じました。
民家は、庭も窓辺も部屋も、とっても、可愛て、綺麗!
他国を旅してるオランダ人にそのことを伝えると、みんな、自分の家を褒められた様に喜びます。



                 チューリップ畑の向こうは運河。     

198509 240×360
Tulip-wind
運河の堤には並木。
並木は風を受けて立つ。

198510 240×360
Tulip-dike
水と風の通り道。
風を受けて、自転車が行く。
198511 240×360
Tulip-poem
運河の道は、まっすぐ。
その下に、色とりどりの平行線。

チューリップのラインは、運河の堤に守られている。