旅のお土産話トップへ戻る   旅のお土産話 vol.5
=とびきりいい話=
人の情。海人の心意気。助け合いの精神。
大人が子供に伝え、子供は大人から学ぶ。
時に応じて自分の出来ることをやる
(大人も子供も)。潮時を待つと言うこと。
HINANOが荒波の間から救い出されたのは、
そんな精神が息づいているカピンギィ魂のお陰でした。

救出作業をはじめ、マスト抜きの試み、クレーン用丸太の切り出し、そしてマストを元通り固定できたのは島人の力と知恵と心意気によるものでした。
 
教会ではHINANOのために祈りが捧げられ、曳航出発の折りには牧師さんが足舟でやって来て「ポンペイまで、いや日本まで無事に着くよう祈っているからね」と。
たくさんの祈りに守られて、HINANOと私たちは救われたのです。

当初アクセクしていた私達に島のチーフ、通称サキは言いました。「もっと気持ちを楽にして、カピンガをお楽しみなさい。毎日楽しければ、きっといい事があるから」「悪いことの後には良いことがあるからね」と、身にしみたオコトバ。
サキの奥さんケシアは、太陽のようにおおらかな人。からだは島一番丸々たっぷりで、茶目っ気もたっぷりです。

ボイジャー船積みを断念し(3/4)、再びチーフ宅を訪れた時、「コーイチとツーセとHINANOがいなくなると寂しいから、行かないで!って神様に祈ったのヨ」とケシア。
その祈り?のお陰で肩の力が抜けリラックスしてカピンガを楽しめた私達でした。
その時、二人は口を揃えて「ここが自分の家だと思って、くつろいでね」とも言ってくれました。

サキとケシアはいいコンビ。二人のやり取りは漫才のようです。
ヤシ酒を酌み交わしている時、彼女も飲みたいけどサキに止められているという。ケシアが酔っぱらったら、ぶっ飛ばされる危険あり、と。
確かに彼女の方が二倍はあります。HINANOも訪ねたいけど、傾く危険あり、と言われた、そんな事を丸々の笑顔で言い合っている二人でした。

「イリジュウム社倒産、衛星電話3月18日16時より使用不可」という、その日(3/8)の不幸な知らせも、彼らの笑顔を見ていると「たいしたこはとない」と思えてくるから不思議。

0311 Hearty Presents 2
明るい気持ちを頂きつつ、カピンガの豊かな味に舌鼓を打ちました。
HINANOに活魚が飛び込む。
キハダマグロ、ハタ、タコ、イセエビ、ツムブリ、ギンガメアジ etc.多すぎて断ることもしばしば。
島の幸も運ばれる。椰子の実の束、バナナの束、パンの実、パパイヤ、etcそして料理も。
 パンの実料理、蒸しタロイモ、バナナ料理、ドーナッツ、パン、パンケーキ etc.
とても二人だけでは食べきれません
後半、冷凍できる物は保存して非常時?に備えました。

時には花の冠、そして美しい貝殻も。

きわめつきはケシアが思い切って初乗艇してくれた時(3/12)
色々と話がはずみましたが、最後に取り出したのはスケジュール表。
「?」それは何かというと、[食事計画表」で、たとえば「月曜の朝食はハーレ宅、昼食はだれそれ、夕食はどこそこが用意して、曳航の日までHINANOに運ぶ計画表」だと。
もうビックリ!本当にうれしかったけど、お気持ちだけ頂いて丁重にお断りしました。教会のミーティングで決めたとか。

食べ物は分かち合う暮らし方の中、HINANOの食料は長逗留で乏しかろうという、皆の気配りがありがたく、頭が下がりました。
0310 Hearty Presents 1
=お金のはなし=
0308 Good afternoon ある日、コーチャンがチーフ、サキに突っ込んだ質問をしました。
「カピンガの人達はどうやって現金収入を得ているの?」
 コプラ(椰子の実の果肉)や木彫りもあるけど、ほとんど政府からの援助だという。
水タンクや橋の工事の人足代、先生や役所人員の給与。
アメリカや日本に比べると実に少ない現金収入。でもそれで充分。
海の幸、島の幸があふれていて、食べることには困らない。
家は椰子の木、椰子の葉、住むことにも困らない。お金はそんなにたくさんはいらない、と笑顔で語ってくれました。
サキはアメリカの学校を卒業後、首都ポンペイで仕事してたんだけど、ここの生活が本物だと思って、戻って来たんですって。
 
2月27日(日)の日記より

コーチャン、朝から電話電源コード、延長作業。午後、チーフがアメリカにいる娘に電話をかけに来るのだ。
衛星携帯電話だとアメリカも目の前。電話がないカピンガからでも話が出来る。「代金を払うから使わして。」
「トンデモナイ、どうぞ使って下さい。」

お昼前、教会へ。(来島して二回目の日曜日)赤ちゃんの洗礼や色々な儀式。ゴスペルソングはいつ聴いても素晴らしい。牧師さんは同じ人だったが、進行を取り仕切る?メンバーの顔ぶれが先週と違う。いつも腰巻きとラフなスタイルの人が今日は背広姿。壇上で神妙に聖書を読み上げている。島のチーフが4年毎に選挙で選ばれるように、色々な役目が持ち回りなのだろうか。

井戸端でスケッチブックを広げていると、あっという間に子供の輪。
わっ、ワッ、輪っ!チャンス到来。子供達と記念撮影。
持ち歩いているビー玉をあげると、大きな子が仕切って皆に分けてくれた。
続いて桟橋でも記念撮影。皆、顔見知りの子供達。ポンペイで買ったキャンディの袋を開ける。
一つ取る子も二つ取る子もいる。大きな子が「ひとつづつ!」と言っている。「包み紙は私に返して」と言うと、皆大急ぎでほおばる。
三個いっぺんに口に入れる子もいて笑ってしまう。
そんな食いしんぼがいても、OK。
ケンカにはならない、おおらかな島。
 
午後チーフ来艇。こんな美しいヨットは初めてだという。何回言われてもウレシイお言葉。わが娘を誉められている気分。
昨夜コーチャンが大小混ぜて集めた現金1000$をカピンガ住民のために、と手渡す。
チーフ、目を丸くして「トンデモナイ、あなた方も必要なのだから、お気持ちとして半分でいい」と言う。
「いや、そんな事いわないで、来月のお祭り(カピンガマランギ・デー)にも使って下さい。」と無理矢理受け取っていただいた。

=お返しの話=

カピンガマランギで物を売りつけられた事は、一度もありません。
全部タダで下さるのです。
HINANOには、都会からの物資が色々、いっぱい。何かが届く度に、クッキー、ビスケット、チョコレート、手持ちの釣り針やテグス等、お礼の気持を差し上げていました。
後半過ぎ、頂くばかりで、いよいよ差し上げる物が乏しくなった時、大活躍したのが冷凍庫。
ペットボトルで作った氷水は大好評!
島の暮らしに役立つ物を帰国後送りたいと、リストを作りました。たとえば、釣り糸や防水懐中電灯、石鹸、etc。
その中に「ドライバー」もあります。が、正確に言うと「ドライバーの柄」です。プラスチックの柄に、ナイロンロープをほぐして取り付け疑似餌にするのです。マグロなどの大型魚用。丈夫でよく釣れるらしい。

座礁した翌日、切って捨てたつもりの錨と、もぎ取られた舵の一部をを拾い上げ、届けてくれた人達がいました。
あの荒波うち寄せる岩礁の間をかいくぐって、探してくれたのです。スゴイ!やわな私たちとは潮っぽさが違う。頭が下がりました。
「錨をしばったロープの切れ端をもらえないか」と。
もちろん「どうぞ。」姿を変えて役立っているのです。うれしくなる。
0306 Happy time 翌日、彼、ハーレからでっかいキハダマグロが届き、お礼にコスラエ・オレンジを渡し・・・と、物がまわり回っています。
物々交換というのではなく、なんか面白い。

島でコーチャンは電気技師としての腕を振るいました。
ゴチャゴチャになったバッテリーの配線板を作りなおしたり、無線機の配線を直したり。それを見てあちこちから声がかかります。コーチャン、大忙し。
牧師さんからお礼に頂いたバンダナス帽子をかぶって、帰ってきました。

3月6日は、チーフ・サキの誕生日。夕食に招かれました。49回目。容姿、物腰、精神構造共に、私達より、ずっと年上に見えるサキです。
49粒の干しぶどうで飾った蒸しケーキと、のり巻き持参。
後日、乞われてケシアに「すしライス」の作り方を教えました。カピンガに「おすし」は似合うと思います。昔の日本と同じご飯の炊き方、新鮮な魚、醤油も日常的に使っています。「握り」ではなく「ちらし」にしました。教会の集まりに持って行って「私が作ったのヨ」と皆を驚かす算段とか。
「スシライス」ではなく「ツセライス」と言って、作り方をみんなに教えるという。ケシアは身体と同じ位、気持ちも大きく、まん丸で楽しい。

=無人島バンザイの話=

33ある島々のうち、人が住んでいるのは2島だけ、あとはぜーんぶ、無人島。
そのうちのいくつかを、巡りました。
シュノーケリングセット、パンの実や、バナナ、椰子の実のランチ積み込んで、足舟を漕ぎ出す時は、ウキウキ、リゾート気分〜。

遊んでると、通りかかった舟が魚を放り込んでくれたり、島の中では薪拾いや、屋根材にする椰子の葉を集める人に出会ったりもしました。タロイモ畑が、思いがけない所に作ってあったり、廃墟があったり、幼い頃の探検ごっこみたいでした。海の中は、もちろん水族館・・・いえ、いえ、水族館がこの海を真似てるんですね!
0304 Silent time 1
石鹸や、シャンプー持参で海中温泉気分を満喫〜。
こんな時は、ちょっと離れた島へ。
だーれもいない真っ白な砂浜、透明な遠浅の海、裸の躰に降りそそぐ太陽、でっかい、でっかい露天風呂だーい!!う〜ん、し・あ・わ・せ〜!
さて、こんなお出かけの時は、ゴミも持参。燃やせる物は、燃やしました。
紙だけでなく、ビニール類も、大気汚染気にしつつ燃やしちゃいました。ごめんなさい。
今、南の島の美しい海と空を思い浮かべながら、日常のゴミ減らしに努めてますが・・・。
   時には、撮影(コーチャンのお仕事)も。
椰子の木繁る南の島は、ほんとに、素敵な被写体でしたが、揺れるゴムボートから撮るのは、結構タイヘンでした。
0305 Silent time 2
島によって、浜辺の様子がちがう、これまた、いとおもしろ、です。
美しい砂の浜。小さな小さな貝殻の浜、サンゴのかけらの浜、砂の色も様々。海の中の表情も、同じ島だって、時間によって、日によって違います。
飽きません。・・・アキマヘン、ヤバーッ、「浦島太郎状態」に・・・。
共通点は、どの島にも椰子の木がおい繁っているということです。
0318 Motu 1
たったひとつ例外があります。
パスの入口にある「モツ・ケレケレ」という小島。モツは島、ケレケレは白砂の意味。椰子の木が4本、バンダナスが2本、それだけで、いっぱいになってしまうかわいい島です。
ある日、私達は、人口9人のオロルク環礁から持参した椰子の苗をここに植えました。
オロルクの椰子はすべて、ふる里・カピンガからの植樹だとか。その話を聞いた私たちは、椰子林の中いっぱいにころがっている、発芽した椰子の実ひとつ、船底にしのばせてきたのです。この苗は、カピンガ椰子の「お里帰り」です。HINANO再訪の夢と共に、いつの日か、大きく育ってくれるでしょうか。
0302 Motu-Kerekere 2

撮影ポイントでもあるこの小島には、思い出が色々。
ある時は、先客がいて、漁の最中でした。色んな魚を肩へ振り分けにして、外海から戻った様は、ギリシャ神話の挿絵から抜け出して来たみたい!でした。魚のお裾分けはモチロン、その場で焼いてくれたことも。
道具は蛮刀一本だけ。醤油も塩もなし、取れたての魚を、透明な海水で洗って、美しいサンゴの浜で焼く。
サンゴのかまど。コンロもバーベキューセットもいりません。燃料は椰子の実の殻。すべて自然の物。
焼きたてを手で食べます。実にうまいっ!事故ってるのに、こんなゼータクしてていいもんかな〜?
心配してくれてる、日本の友人ご一同様、ドーモ・スミマセンッ。
0321 Fishing

0303 Motu-Kerekere 3
先客は人間だけではありません。空には白い海鳥(アジサシの一種)が舞い、サンゴの浜には、浜色の卵が二個づつ、あちこちに並んでいます。注意して歩かないと踏みつけそう!それくらい、いっぱい。それくらい、巧みな保護色。
曳航日も間近になった頃、ヒナがかえっていました。卵と同じ色模様のヒナが精一杯口を開け、上空では親鳥が騒いでいます。
曳航当日も、最後の見送りは、この白い鳥達でした。

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