2009年個展「想い出の旅路・道」案内状より

1980 年より風景カメラマンの夫、久我耕一と二人三脚で
世界各国を取材、約 90 カ国を巡りました。

昨年 11 月 29 日夫の急逝により二人三脚の旅に終止符が打たれました。
共に歩んできた 37 年間は、シゴトもアソビも充実した人生でした。

今回のテーマは奇しくも 「想い出の旅路・道」 です。
旅のお土産話として続けてきた制作発表には
まだまだ描ききれない 「お土産話」 がいっぱいあります。

これからも二人三脚で亡き夫にささえられつつ 「旅のお土産話」 を
発表してゆきたいと思っています。
どうぞよろしくご高覧お願いいたします。

親しい方々に差し上げたお手紙より

案内状にも記しましたが夫、久我耕一(コーチャン)が急逝して百ヵ日が過ぎました。
ここ十年来躁鬱病に苦しんでいた耕ちゃんでした。
昨年11月29日早朝、自らの手で人生60年の幕を下ろしました。
大きな運命の波に巻き込まれ逝ってしまったコーチャン・・・・・。
千葉・富浦、愛艇ヨット・HINANOを留めてある海面が見下ろせる丘の上でした。
私たちの結婚生活37年は
「二人三脚」「ふたりで一人前」をモットーにシゴトもアソビも充実した人生でした。
常に全力投球で人生と向きあっていた耕ちゃんでした。
彼が築いてくれた大勢の仲間に今、支えられている私です。
他人の何倍ものエネルギーを使い、他人の何倍もの濃密な人生経験を重ねたコーチャン。
笑顔とサービス精神でいつも周りに活力を振りまいていたコーチャン。
十二分に生ききったコーチャンです。
人生の幕を自分で引いて閉じたのも、完璧を目指し、やりたいように生ききった彼の
最後の生きざまと、自分に言い聞かせ、悲しみと寂しさを埋めている日々です。
苦しみから解放され、やすらかなおだやかな相でいてくれたのが、せめてもの救いでした。
やすらかになった耕ちゃんがいつもそばにいてくれる、
これからも「二人三脚」「ふたりで一人前」ふたりぶんの時間を過ごしてゆくつもりです。
ありがとう   耕ちゃん   ありがとう
                 2009年3月   久我通世

写真
風景の狩人 久我耕一・足跡展
銀座 ギャラリー・オカベ
2014年3月24日~4月5日
案内状

フリーの風景カメラマン、夫・久我耕一(2008/11没)を
私は現場で「風景の狩人」と称していました。
4×5のカメラを据え付け風景の一瞬を切り取る仕事。
彼が遺した膨大な4×5ポジフィルムをご来場の皆さまに
展示して頂く「ご来場者参加型日替わりインスタレーション」
さて、どうなりますか?!
「形見分け展」でもあります。
展示の都合上、献花を飾るスペースはありません。
お花、その他のお心遣いはご遠慮申し上げます。
ご一緒に世界旅行をお楽しみ頂ければ嬉しいです。
お時間、おついでがある方は何度でもお立ち寄り下さいませ。

                         久我通世

【風景の狩人 久我耕一・足跡展】に寄せて

フリーの風景カメラマン、夫・久我耕一が旅立って、今年は七回忌にあたります。
近年はデジタルカメラが主流ですが、
以前は大型カメラ(三脚に据え付け黒い布をかぶせる)での撮影でした。
4×5のポジフィルムはデジタルカメラでは出せない深い味わいがあると思います。

【ご来場者参加型インスタレーション】
海外の自然を撮影したフィルムで皆さまと共に、銀座の一角を彩りたいと存じます。
フィルムはジャンル別、国別になっています。
・海・山・河・砂漠・岩・樹木・花・田園・南極・オーロラ 等々 です。
気に入った風景を何枚でもクリップで真ん中の漁網に留めて、遊んで♪下さいませ。
皆さまのご参加により日替わりで、時々・刻々、変化する会場となります。
仕事の関係上、同じようなカットが複数枚あります。
フィルムは1枚100円以上でお譲りいたします。
諸経費を除いた全額を東日本被災地の義援金とさせて頂きます。
お気に入りの風景がたくさん見つかりますように!

【久我耕一の仕事】
壁に展示した印刷物は写真エージェントから貸し出され、企業の印刷物になった物の一部。
フィルムの著作権は「久我耕一」にあります。

コマーシャル等、商業用の印刷物に使用する際はご一報下さい。
インターネットや印刷物での公開はご遠慮願います。
二次使用される場合、ご不明な点はお尋ね下さいませ。

【形見分け展】
28年間の海外取材で撮影した4×5ポジフィルム約30枚が入ってます。
色々な国のカット、何が入っているかは開けて見てのお楽しみです。
1~5が(1)~(4)に分かれていて少しずつ内容が異なります。(約20パターン)
ご家族やご友人同士で、違う内容の物をお手渡しできれば「見せっこ」する楽しみがあると思い、そのように分類しました。
どうぞ、世界旅行をお楽しみ下さいませ。

【形見分けポジフィルムの楽しみかた】
・ 窓ガラスに貼って風景ステンドグラスにする♪
・ マウントに色を塗ったり、きれいな紙や布を貼っておしゃれな額縁にして窓辺に飾る♪
・ マウントをはずしてガラスのテーブルなどにはさみ、下からライトアップ♪
・ 時々眺め、訪ね歩いた懐かしい国や、行ってみたい国に想いを馳せる♪
・ 喜びそうな方にプレゼントする♪

ポジフィルムは光に長時間あてるといつか褪色します・・・、その時はどうぞ始末して下さいませ。

everytimeyes
everywhereyesこれは私たちが結婚するときに
everythingyes指針としたコトバです。
everybodyyes

彼はこのコトバ通り、いつも快活で行動的、社交的で楽しい人でした。
晩年は NO! に囲まれているようでしたが・・・・・。

形見分けのフィルムは YES の気持ちをこめて。

会場風景  写真はクリックすると大きくなります 会場全景



【久我通世によるフィルム展示コーナー】
・正面ウインドウは日替わり展示、毎日入れ替えました。
・三脚投網、モラとナスカの地上絵は思い入れが深く、常設。
・奥の左手、オーロラは天空との交信の意味を込めて、常設。

【正面ウインドウ日替わり展示風景】

〈1週目〉 3月24日(月)[祈り・朝昼夜] U.S.A. ニュージーランド タヒチ

人災と天災で今は無きNYのツインタワー、ニュージーランドのクライストチャーチ。
マンハッタンと大きな自然の朝昼夜は平和な時の流れを願って。

3月25日(火)[チューリップ] オランダ

オランダのチューリップ畑が織りなす花の絨毯。
まわりを囲んでいるのはチューリップの時期だけ開園するキューケンホフ公園。

3月26日(水)[海] 南極 南太平洋 カリブ海

氷の海ではペンギンやゾウアザラシ、南の海中では色とりどりの熱帯魚との出会い。
海にも陸にも地球の仲間がたくさんいました!

『ヨットひなの旅のお土産話』のページは
南の海で遭遇した大事件とそのお陰?で出会えた島人の海人魂と島の生活がいっぱいです。
どうぞ、ご一読くださいませ。

3月27日(木)[1本木、木々] 欧州 ニュージーランド

印象的な1本の木や安らぎを感じる林のフィルムで飾られたウインドウでしたが、曇天と私のウデが拙く写真の出来が・・・・スミマセン。

3月28日(金)[山々] チベット カナダ 欧州 他

世界の屋根・チョモランマ(エベレスト)やマッキンリー、ヨーロッパアルプスなど。
自分の足で登ったわけではありません(登山電車やケーブルカー)が、迫力でした。

3月29日(土)[岩・砂] U.S.A.

アメリカ合衆国、国立公園の中でも荒々しい地形を取り上げました。
むき出しの地球の肌という感じでした。

〈2週目〉

3月31日(月)[道] 欧州 カナダ U.S.A. 他

「グリュースゴッド」ヨーロッパアルプスの山道を歩く時はこんな挨拶を交わして道を譲り合います。ハイウエイをとばしたり、石畳の路をゆっくり進んだり、サハラ砂漠で迷子になったり・・・・。たくさんの轍(ワダチ)を残した旅人生でした。
ベンチの写真は「耕ちゃん、おつかれさま」の気持ちを込めて。

4月1日(火)[ヒマワリ畑]  スペイン(アンダルシア地方)

映画「ひまわり」の撮影地。見渡す限りのヒマワリ畑、東を向いて咲いている。
青空と黄色のコントラストがまぶしい、一面のヒマワリ畑!!

4月2日(水)[滝・河・湖] ブラジル カナダ U.S.A. チベット 欧州

イグアスの滝、ジャングルの赤土を飲み込んで落ちて行く大瀑布、水のエネルギーに圧倒されました。山裾に静まる湖に癒され、清流は大河となり海へと続く、水の旅。
水の星・地球の七変化。流転の中で生かされている命。

4月3日(木)[並木] 欧州 ニュージーランド

並木は風を防ぎ、木陰をくれる。並木は大きいのも、小さいのも、立派な目印になってくれる。楽しい気分にさせてくれる。並木は先人たちの知恵。
この日は雨模様で、カメラマンのウデも悪く、、、こんな写真でゴメンナサイ、、、、。

4月4日(金)[花々] 欧州 U.S.A. ギリシャ

チューリップとヒマワリを除いた花々の登場です。
野に咲く可憐な花たち、かぐわしいラヴェンダーや菜の花畑。
リンゴの花にサクランボの実り、紅葉やサボテンまで!
花々は幸せ気分を運んでくれます。
『旅の思い出、樹々や花々より』には
私の拙いリトグラフ作品と共に樹々や花々との出会いが綴られています。

4月5日(土)[砂・岩] サハラ砂漠 オーストラリア トルコ 中国 他

「土」で出来た球だから地球なのでは!!
若い頃、二度も決行したサハラ砂漠の旅。
時間と興味のある方は『砂の海・サハラ紀行のお土産話』を覗いてみて下さい。
オーストラリアはアボジリニの聖地ウルル(エアーズロック)、トルコのカッパドキア・ギョレメの谷、アメリカの白い砂漠、シルクロードの鳴沙山、ヨルダンの砂漠は映画「アラビアのロレンス」の舞台とか。
本当にたくさんの表情を持つ星、地球です。



久我耕一のつぶやき
「だめだ!こんな空じゃ・・・・、シャッターは押せないよ!」
「空はもっと、青かった!大気はずっと、澄んでいたんだ!」
2005年初夏、スペイン・アンダルシアの広大なヒマワリ畑でのひとりごと。
撮影取材で幾たびか訪れたヒマワリ畑の丘々が
午前中の光の中で、まぶしく広がっていました。

久我通世のつぶやき
「耕ちゃん、もう充分よ~、ほんとうにお疲れさまでした・・・・」
撮影取材にはいつも同行していた私です。
今回、はじめて4×5ポジフィルムの整理をし、その量に圧倒されました。
シャッター音が聞こえてくるようです。
風景が一番輝く瞬間を、待って待って待って、シャッターを押すのです。

地球は、大気は、汚されているのでしょう、ヒトの暮らしの中で・・・・。
以前に彼が切り取った自然の風景で銀座の一角を彩り、
「この星、地球ってきれいだね!」って、たくさんの方々と共感しあえたら!
そして、私の気持ちの整理でもあったのか?
「コーチャン、ありがとう!
今もずーっとそばに居てくれてる気がします。」

ふたたび、久我耕一のつぶやき
「・・・・・ほんとうは、もっと、もっと、遊びたかった・・・・
今は安らかだけどね。。。。。」

☆ 海や山、耕ちゃんが繋いでくれた遊び仲間のお陰で楽しく開催することが
できました。
☆ご参加の皆さん、ありがとうございました!

【風景の狩人 久我耕一・足跡展】終了に寄せて
どうなることか?皆目見当がつかなかった・・・・というのが本音。
おかげ様で連日賑やかでした。
皆さま熱心にフィルムを眺めて下さって、賑やかなのに静かで、不思議な雰囲気に包まれた会場でした。
二度三度足を運んで下さった方、連日覗いて下さった方、通りがかりにじっくり見て下さった方、色々でした。
皆さまからお寄せ頂いた(お預かりした)フィルム代金は、必要経費以上が集まりました。
東日本震災義援金とさせて頂きました。
本当にありがとうございました。
この水の星・地球が美しい星として宇宙空間にず~っと浮かんでいられますように!