NO,16 ようやく、タマンラセットへ
1984年1月1日〜4日
 地図とルートはここをクリックしてください(復路の地図更新しました)
1月1日(日) Siletはるか南で、砂の中に埋まったまま、泊
今日は元旦。

「明けましておめでとうございます!」
晴れやかに年の初めを祝う日である。

我々はコンナトコロで何故コンナコトをやっているのか?
砂嵐の中での砂脱出作業。

走るほどに風が強まり、ロードマークは出てきたもののいたるところに砂の山。
その度に車を降りてルートを探すが何度も砂の魔手に捕まってしまう。
強風の目つぶしをまともに喰らい、目の中、口の中、鼻の中、砂だらけ。
3人とも、もう声も出ない。
ただ黙々と砂脱出作業を進めるだけだ。
アブドウライがいるお陰でずいぶん助かっている。

砂のない所は凸凹のソロバンロード。
走行距離はちっとも延びない。
とにかく、「前に進んでるんだ」と自分に言い聞かせながら、ただ黙々とブル君を前に進める。
そろそろ今夜の寝場所をと考えていたら、目前に砂の山。
2kmほど強行走行するが、とうとう完全に捕まった。
日も落ちてきたので作業中止。
砂に埋まったまま泊まることにした。

コーチャンは明朝の脱出ルートを探して歩く。
キャンピングと夕食準備(昨日のオジヤの残り)をしている間に大型トラック2台が砂に捕まった様子。
1台はかなり近くに泊まっているようだ。

今夜も不安な夜。
明日は朝からハードワークだぞ!!

1月2日(月) Tamanrsset Hotel 泊
朝イチで砂脱出作業。
1kmくらいの鉄板敷き走行を覚悟していたが、思ったより楽(?)に脱出成功。
それより、充分にあると思っていたガソリンが250km走行で60Lも使ってしまった。
砂走行のためか?

途中でトラックが休んでいるのを見つけルートを確認した。
「OKだ、このルートはダイレクトにタマンラセット。Siletは違うルートだよ」
そういえば、トヨタの名ドライバー「モハッ」もダイレクトルートの方がいいと言っていた。
しかし、走るにつれ西へ東へルートが分かれる。
できるだけ西寄りの轍を選んで走るが、次に見つけたロードマークは「Siletまで60km」だと。
ガソリンもタマンラセットまではもちそうにないのでSiletへ向かうことに。
あと50km、45km、そのうち路は岩山となる。
予備タイヤもなくゴツゴツ、トゲトゲの岩路を走るのはヒヤヒヤだ。


アブドウライと記念写真を撮る。
ロードマークを一つ一つ越えながらSilet着。
とにかく人が暮らしている所に辿り着けた。町でポリスチェック。
「水は大丈夫か?」と親切なお言葉。
ポリスオフィスで60Lの水を頂き、ガソリンも80L入れた。
これからはいよいよタマンラセットが目標。道はブルドーザーでならしてあるが凸凹だ。
ブル君は左前のショックアブソーバがいかれてるようで、ギシギシ、カタカタいっている。
   ?  の町手前で谷間に道が落ち込んですごい砂溜まり。
迂回路を探すため、あっちこっちの岩山を登ったり降りたり、ブルドーザーのようなブル君。
やっと通れそうな所を見つけバウンドしながら強行突破。
ここからもやはり凸凹道。
夕方の4時、やっと大きな標識のメインルートに出る。
2年前、バンタイプのフォルクスワーゲン「サンタ」で走った道だ!
しかし、あの立派な舗装は2年間でボロボロとなり、今は工事中。
大型トラックを止めて尋ねると10kmほどは大変な悪路だが、あとは「よい」そうだ。
タマンラセット入城!

アブドウライは知人宅へ。我々はホテルへ転がり込んだ。
1月3日(火) タマンラセットホテル 泊
ツーセは風邪と腹痛と過労でダウン、、、。
ホテルの部屋で静養に専念。
コーチャンひとりで入国申請に。
まず正式にカスタムチェックするため税関へ行く。
外貨申請書(デクラレイション・フォーム)が先ということで、銀行で2000Da(1デイナール=当時約60円)の「強制換金」
ホテルへ戻り、午後から税関手続きやブル君の保険手続きなど終了。
正式にアルジェリア入国となる。

ツーセの体調はかなり悪く、ベッドでダウン、、、、。
これから先は舗装道路なので、ウンザリする車内の砂と埃を、「少しでもましに」とコーチャンひとりで掃除を始める。
隣に止めてあるスイス人のランドクルーザーは、新車なのにボディシャフトにヒビが入っている。
「これまでの凄まじい走行はやっと終わって、これからは舗装道路だから安心だネ!」
とスイス人に話しかけたら
「ここから、エルゴレアまでの1100kmは最悪だ」と。
「エエッ!2年前は良かったのに」
「2年前はヨカッタかもしれないが、今はタマンラセットからたった32kmだけ良くてあとは道がない」だと。
コーチャン、ドドーーツと疲れて掃除はやーめた。

その日の夕食をツーセは中止、コーチャンだけホテルのレストランにて。

とにかく、疲れを少しでも取ることだ。

1月4日(水)  タマンラッセトホテル 泊
マリを密出国したカタチになったため、ブル君のカルネ出国スタンプが押されてない。
マリの領事館で尋ねると「マリ国にとってはノープロムレムだが、ここで出国証明はできない」とのこと。
ドイツへ戻ってなんとかしよう。
とにかくブル君を、無事、ヨーロッパへ連れて帰ることが大事だ。


夕陽の当たるホガーマウンテンに再会するため、ツーセの衰弱した身体を押しての出発。
・・・と、思いきや、エンジン音が変だ。
車体の下を見ると軽油がポタポタ流れ出している!
大急ぎで修理屋へ駆け込む。
燃料パイプに穴があいているとか。
道理でガソリンがオソロシク減ったはずだ。
ビニールテープで穴を塞ぎ、エア抜きしてエンジンをかける、OKだ。
そう、ブル君もかなり疲れ気味なのだ。

快晴の中、アカシアの木とホガーマウンテンの撮影。
今年の初仕事。

ホテルにもう一泊。

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